亜人と道徳的な曖昧さの喪失
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永井圭は、交通事故で死ねないことが明らかになり、普通の未来を失う学生だ。『亜人』では、それが彼を、同じような人々を拘束して実験する社会にとって価値ある存在にする。友人の海斗が逃亡を助ける。別の亜人である佐藤は、扱われ方に対して違う応答を提示する。次第に暴力的になる組織的な抵抗だ。
佐藤が最も不気味なのは、どう受け取ればいいかまだよくわからないときだ。
丁寧で、辛抱強く、ほとんど安心させてくれる。状況を理解し、そこから守ってくれそうな年上の男。やがて暴力が始まるが、態度はほぼ変わらない。
感じのよさは、意図が明らかになったときに捨てる演技とは限らない。感じがよく、あんなこともできる。私たちにとってより、彼にとってのほうが、その二つは無理なく両立する。
永井は別の問題を示す。物語で追う人物だが、それで寛大になるわけではない。安全、普通の未来、自分の状況への支配を求める。他人への関心は、その目的にどう影響するかによることが多い。
初期の『亜人』では二人を位置づけにくかった。アニメの終わりには、役割がずっとわかりやすくなった。その明瞭さが改善だったかは疑わしい。
善く振る舞う理由
永井の自己利益は、他人への気遣いから始まらなくても、道徳に似た行動を生みうる。
安定した社会は役立つ。予測できる行動は役立つ。他人が殺されないことも役立つ。人類を愛さなくても、社会が動き続けるほうが佐藤の娯楽より好ましいと思える。
脚本は、彼が最後に善人だと証明するかどうか以上のものを調べられる。
協力が都合のいいときには何が起きるか。負担になったときには何が起きるか。実用的な取り決めとして扱おうとしても、どの愛着が残るか。
初めはそうした問いが開かれている。理解できる判断をする人でも、信頼できるとは限らない。知性は自動的に知恵にならず、距離を取ることは自動的に強さにならない。
その居心地の悪さが好きだった。善い本性が現れるのを待つより、彼を追うのが面白くなった。
当てはまらない人
海斗が重要なのは、忠実さが永井の人との接し方にうまく当てはまらないからだ。
危険でも助ける。不都合でもつながりを保つ。永井は頼り、離れ、説明しようとできるが、関係は実用性を超え続ける。
友情の教訓には還元したくない。永井の応答はもっと未確定だ。依存、苛立ち、罪悪感、愛着、そんなに違う行動をする相手への好奇心かもしれない。絆を完全に理解しなくても、影響は受ける。
一つの愛着があるからといって、残りすべてが単純に優しい人を隠す防御だと証明されるわけではない。誰かを深く大事にし、ほかでは利己的でいられる。例外が彼を具体的にする。
海斗がアニメの対立の中心から離れると、永井を調べるよい機会も一つ失われる。解決すべき話は残るが、計算ではすべてを解けない部分への圧力が減る。
佐藤の欲求
永井が予測可能にしたいものを、佐藤は刺激的にしたい。
工夫は魅力の一部だ。不死は反復的な利点になりやすい。傷つき、回復し、続ける。佐藤は調べる対象として扱う。規則の中に可能性を見つけ、実際的な想像力で使い、暴力を新たな危険にする。
見どころは、生き延びるだけではない。生き延びることが、何を試す気になるかを変える。
政治的に見える目的も、初期の話に有用な不確かさを与える。亜人への扱いは本当に恐ろしい。反対には道理がある。だが、正当な不満は、この男が何を望み、従う人をどう扱うかまでは教えない。
それが生む機会こそ、彼の主な関心かもしれない。
ゲームへの欲求がはっきりするほど、大義がどれほど残るかが気になる。何で満足するのか。対立の終わりを望むのか。隣にいる人への関心はどこまで続くのか。
暴力を楽しむことは、佐藤について何かを説明する。すべての問いの答えになる必要はない。
役割が見慣れたものになるとき
後半への失望は、関わる人々を調べるより、悪役を止めることを中心に対立が組み立てられているように感じることだ。
永井の冷たさは、もっと悪い人を倒すために必要な厳しさとして受け入れやすくなる。佐藤の予測できなさは、より大きな脅威の連続になる。違いはまだ行動を動かすが、周囲の道徳的な配置は定まる。
問題は永井が変わることではない。愛着、責任、後悔は大いに彼を複雑にしうる。変化によって、彼を支持するのがだんだん簡単になることだ。
他人が必要だと知った利己的な人は、利己的でなくなる必要はない。思いやりが増すことも、依存や恨みが増すことも、失うものを見抜くのがうまくなるだけのこともある。その可能性は追う価値がある。アニメは、対決の位置につかせることのほうに興味があるように見えることが多い。
初期の『亜人』には、永井の静かな生活への欲求と佐藤の刺激への欲求が、どちらも道徳的に立派でなくても対立する余地があった。海斗は、永井の救済の証拠にならずに重要でいられた。
それでも作品は好きだった。設定は優れた戦術的状況を生み、佐藤は興味が薄れても記憶に残る。だが、最初にその対立を落ち着かないものにした動機を、もっと見たかった。
終わりには、誰を止めてほしいかわかっていた。その前には、もう一方の男がなぜ止めると決めるのかも理解したかった。そちらのほうがよい問いだった。